「偽サイドバック(インバーテッドSB / Inverted Fullback)」は、簡単に言うとサイドバック(SB)がタッチライン際ではなく”中(中央)”に入ってプレーする戦術です。外で幅を取る役をSBがやるのではなく、SBが中盤のように振る舞います。この記事では初心者でも試合を見ながら理解できるように、偽サイドバックの狙い・メリット・弱点・見分け方・サンフレッチェ広島との関係をまとめます。

通常のサイドバックと偽サイドバックの違い
| 項目 | 通常のサイドバック | 偽サイドバック(インバーテッドSB) |
|---|---|---|
| 攻撃時の位置 | タッチライン際(外側)を高く上がる | 内側(中央寄り)に入ってプレー |
| 役割 | クロスを上げる、サイドの幅を作る | 中盤のサポート、パスコースを増やす |
| 見た目のイメージ | 「SBがウイングのように上がる」 | 「SBがボランチのように中に入る」 |
| 代表的な採用チーム | 多くのチームの基本形 | グアルディオラのマンC、バルセロナなど |
偽サイドバックの目的は「中盤の人数を増やして主導権を取る」
偽サイドバックの狙いはとても実用的です。SBが内側に入ることで、中盤で数的優位(人数で有利)を作りやすくなります。
- ビルドアップが安定:後ろからつなぐ時に「受け手」が増える
- 中央で回収しやすい:ボールを失っても、中央に人数がいてカウンター対応しやすい
- 相手を混乱させる:SBがどこに動くか予測しにくく、相手のプレスがズレる
偽サイドバックのメリット(攻撃面)
①数的優位でボール保持が安定する
2人のCBと2人の偽SBで中盤をカバーすると、ビルドアップ時に5人対相手の前線プレス(2〜3人)という数的優位が生まれやすくなります。これにより後方からのパスビルドアップが格段にやりやすくなります。
②ウイングが自由に動ける
通常、SBが外を上がることでウイングは内側に絞ってプレーします(これが「偽ウイング」)。しかし偽SBが内側に入ると、ウイングが外側の幅も内側の動きも自由に選択できます。戦術の選択肢が増えるわけです。
③中盤での即時奪回がしやすい
ボールを失った直後(トランジション)に、中央に人数がいることで素早くボールを取り返しやすくなります。「攻撃的なSBがいないとカウンターが怖い」というデメリットを補う形です。
偽サイドバックのデメリット・弱点
- サイドの守備が手薄になる:偽SBが内側にいるため、SBがいた外側のスペースが空きやすい
- ウイングバックへの要求が増える:SBが外を上がらない分、ウイング(またはWB)が外の幅も作らなければならない
- 選手のインテリジェンスが求められる:状況に応じて内外を使い分ける判断力が必要で、高い戦術理解が要求される
試合での見分け方
偽サイドバックを試合で確認するには、以下のポイントに注目しましょう。
- SBが高い位置を取ったとき、タッチライン際ではなく内側にいる→ 偽SBの可能性が高い
- SBが中盤の選手と並んでいる→ ボランチのような位置取りをしている状態
- 外のレーンにウイングやウイングバックが残っている→ SBが内、WBが外という分担
サンフレッチェ広島と偽サイドバックの関係
広島はウイングバック(WB)を採用する3バックシステムのため、厳密な「偽サイドバック」とは少し異なります。しかし、広島のウイングバックにも似た要素が見られます。
たとえば、東俊希や新井直人がボールを受けた際に外側ではなく内側に入ってくる動き(インバーテッドWB)は、偽サイドバックの考え方に近いものです。外のスペースは前の選手が使い、WB自身は中盤の選手としてパスワークに絡む形は、ガウル監督が意図する「グラウンダーのパスサッカー」の中に組み込まれています。
広島の試合で「ウイングバックが中央寄りにポジションを取っている」場面を見たら、偽サイドバック的な考え方が機能している証拠です。
代表的な偽サイドバックの採用チームと歴史
偽サイドバックは2010年代のペップ・グアルディオラ(バルセロナ→バイエルン→マンチェスター・シティ)が洗練させた戦術として広まりました。特にマンチェスター・シティでのダニーロやアレクサンダー=アーノルド(リバプール)の使われ方が代表的な例です。現在では多くのトップクラブが何らかの形でこの概念を採り入れています。
観戦時のチェックポイント
- ✅ SBが外ではなく内側にいるか:内側にいれば偽サイドバック(またはインバーテッドWB)
- ✅ ビルドアップ時の人数:後方に多くの人数がいれば安定したパス回しが期待できる
- ✅ 外のスペースを誰が使っているか:SBが内にいるなら、外はウイングが担当
- ✅ ボールを失った後:内側の人数が多いとカウンター対応もしやすい
広島の試合を現地で観戦するなら、試合日はホテルが埋まりやすいので早めの予約が安心です。
この即時奪回を狙いとして徹底する守り方がゲーゲンプレスです。
よくある質問(FAQ)
Q. 偽サイドバックの読み方は?
A. 「にせサイドバック」と読みます。英語のInverted Fullback(インバーテッド・フルバック)を訳した言い方で、「インバーテッドSB」「偽SB」と表記されることもあります。すべて同じ戦術を指します。
Q. 偽サイドバックの動きとは?
A. サイドバックが攻撃時にタッチライン際ではなく内側(中央寄り)に入ってプレーする動きです。ボランチのように中盤へ並び、パスの受け手として組み立てに関わります。外側の幅はウイングやウイングバックが担当します。
Q. 偽サイドバックの代表的な選手は?
A. マンチェスター・シティのダニーロ、リバプールのアレクサンダー=アーノルドの使われ方が代表例としてよく挙げられます。現在では多くのトップクラブが何らかの形でこの概念を採り入れています。
Q. 偽サイドバックはいつから使われていますか?
A. 2010年代に、バルセロナ→バイエルン→マンチェスター・シティと渡り歩いたペップ・グアルディオラが洗練させた戦術として広まりました。
Q. 偽サイドバックのデメリットは?
A. 3つあります。サイドの守備が手薄になること(SBが内側にいるため外のスペースが空く)、ウイングやウイングバックへの要求が増えること(外の幅を一人で作る必要がある)、そして選手に高い戦術理解が求められること(内外を状況で使い分ける判断力が必要)です。
Q. サンフレッチェ広島は偽サイドバックを使っていますか?
A. 広島はウイングバックを置く3バックなので、厳密な偽サイドバックとは少し異なります。ただし東俊希や新井直人がボールを受けた際に内側へ入ってくる動き(インバーテッドWB)は、偽サイドバックの考え方に近いものです。
まとめ
偽サイドバックは「SBが内側に入ることで中盤の人数を増やし、ボール保持を安定させる」戦術です。従来のSBとは全く異なる役割を要求されるため、高い戦術理解と技術が必要ですが、機能したときの攻撃の安定性と多様性は非常に高いです。
サンフレッチェ広島の試合ではウイングバックの内側への動きに注目することで、現代サッカーの戦術的なエッセンスを楽しめます。
関連記事:ハーフスペースとは?初心者でも分かる解説
戦術用語をまとめて学ぶ
この記事は戦術用語シリーズの1本です。【保存版】サッカー戦術用語まとめ21|初心者はこの順番で読めば分かるでは、21記事を「攻撃・守備・切り替え・分析」の4グループに整理し、初心者が挫折しない読む順番を紹介しています。

