2026年2月28日、サッカーのルールを定める国際サッカー評議会(IFAB)が第140回年次総会で2026/27シーズンの競技規則(ルール)改正を承認しました。今回の改正は「時間稼ぎ(時間浪費行為)を減らし、実際にプレーしている時間を増やす」ことが大きな狙い。すでに開催中のFIFAワールドカップ2026でも先行して適用されており、Jリーグでも2026/27シーズンの開幕(2026年8月8日)から採用される見込みです。本記事では、サンフレッチェ広島の試合観戦にも直結する主な変更点を、できるだけわかりやすく解説します。
2026/27競技規則改正とは?目的と適用スケジュール
サッカーの競技規則はIFABが毎年見直し、日本サッカー協会(JFA)が日本語に翻訳・解説しています。今回の2026/27改正のポイントは大きく2つ、「アクチュアルプレイングタイム(実際にボールが動いている時間)の増加」と「判定の正確性・公平性・納得感の向上」です。
正式な発効日は2026年7月1日ですが、それより前に開幕する大会は前倒しで適用できるため、6月11日に開幕したワールドカップ2026では一足先に導入されています。日本国内でも5月31日の日本代表対アイスランド戦から採用され、Jリーグは秋春制初シーズンとなる2026/27(8月8日開幕)から適用される見込みです。今まさにW杯で目にしている新ルールが、そのまま広島の試合にもやってくる、という流れです。

主な改正点|時間稼ぎ対策とVARの4本柱
今回の改正で、観戦中にすぐ気づくであろう大きな変更は次の4つです。いずれも「終盤の時間稼ぎ」を抑え、試合のテンポを保つことを目的としています。

①スローイン&ゴールキックの「5秒ルール」
これまでスローインやゴールキックには「何秒以内」という明確な時間制限がなく、リードしているチームが時間を使って試合を終わらせる“時間稼ぎ”の温床になっていました。改正後は、主審が「意図的に遅らせている」「時間がかかりすぎている」と判断した場合に、片手を上げて指を折りながら5秒間の視覚的カウントダウンを行います。注意したいのは、これは自動で始まるものではなく、あくまで主審が遅延と判断したときに開始される点です。5秒以内に再開できないと、次のように相手チームに有利な形でリスタートが与えられます。
| リスタート | 5秒で再開できなかった場合の罰則 |
|---|---|
| スローイン | 相手チームのスローインになる |
| ゴールキック | 相手チームのコーナーキックになる |
②制限時間付き交代(10秒ルール)
交代で退く選手は、交代ボードが表示されてから(ボードがない場合は主審の合図から)10秒以内に、最も近い場所からピッチの外に出る必要があります。もし時間内に出られなかった場合、その選手は退出はしますが、交代要員(入る選手)はプレー再開後に1分(ランニングクロック)が経過した後の最初のアウトオブプレーまでピッチに入れません。つまり一時的に1人少ない状態が生まれるため、終盤にわざとゆっくり交代する“時間稼ぎ交代”を抑止する狙いがあります。
③負傷の治療・評価後は1分間ピッチ外で待機
フィールド内で負傷の評価・治療を受けた選手、またはその負傷でプレーが止まった選手は、プレー再開後1分間(ランニングクロック)ピッチの外で待機してから復帰することになります。軽微な接触で大げさに倒れてプレーを止める行為への対策で、安易にプレーを止めると自チームが一時的に数的不利になる仕組みです。(負傷の度合いによる例外的な扱いは、実施手順で別途定められています。)
④VAR介入対象の拡大
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入できる場面が広がります。明確な証拠がある場合に限り、次の3つにも介入できるようになりました。
- 明らかに誤った2枚目の警告(イエローカード)による退場。2枚目のイエローは退場につながり試合を大きく左右するため、明白な誤りは訂正できるようになりました。
- 人違い。反則をした選手とは別の選手にカードが提示された場合の訂正。
- 明らかに誤って与えられたコーナーキック。即座に確認でき、再開を遅らせない場合に限る大会オプションです。
あくまでVARの基本である「はっきりとした明白な間違い」への介入という枠組みは維持されており、すべての微妙な判定が見直されるわけではない点には注意が必要です。
その他の細かな競技規則改正(2026/27)
上記の4本柱以外にも、各条文(Law)で次のような変更・明確化が行われています。
- 第8条(プレーの開始・再開):ドロップボールは、プレーが止まらなければボールを保持または獲得していたであろうチームに対して行う、と明確化。
- 第12条(ファウルと不正行為):決定的な得点機会の阻止(DOGSO)に当たる反則でも、主審がアドバンテージを適用してそのまま得点が入った場合は、反則した選手を警告しない(反則が得点を妨げなかったため)。
- 第14条(ペナルティーキック):PKを蹴る選手の偶発的な“二度蹴り”に関する取り扱いを明確化(2025年6月の通達内容を反映)。
- 第4条(用具):危険でない装着物は、安全かつ確実に覆われていれば着用が認められる。
- 第5条(主審):主審のボディカメラ(胸・頭部装着)を大会のオプションとして使用可能に。
- 第3条(競技者):A代表の親善試合での交代枠を8人に拡大(両チーム合意で最大11人まで)。
2025/26からの流れ|GK「8秒ルール」の延長線上にある改正
今回の「カウントダウン方式」は、実は前年(2025/26)に導入されたゴールキーパーの「8秒ルール」の発展形です。GKがペナルティーエリア内でボールを8秒を超えて手で保持すると、相手チームにコーナーキックが与えられるというもので、主審が残り5秒を手の合図でカウントダウンします。この“時間を可視化して稼ぎを抑える”という考え方を、2026/27ではスローインとゴールキックにも広げた、という位置づけです。ワールドカップ2026では、このGK8秒ルールと今回の新ルールが組み合わさって運用されています。
今後の検討事項(確定ではないルール)
なお、IFABは今回あわせて、いくつかのテーマについて「今後協議していく」としています。具体的には、判定への抗議として選手が一斉にピッチを離れる行為や、相手に詰め寄る際に口を手で覆う行為への対応などです。これらはまだ正式なルールではなく検討段階のため、「すでに決まったルール」として紹介されている情報には注意しましょう。また、半自動オフサイド技術(SAOT)やフットボール・ビデオ・サポート(FVS)の試行も継続されています。
サンフレッチェ広島の観戦で注目したいポイント
これらの改正は、Jリーグ2026/27シーズンのサンフレッチェ広島の試合にも当然適用されます。とくに終盤のリード時の試合運びは大きく変わるはずです。スローインやゴールキック、交代のたびに時間を使う“逃げ切り”が難しくなり、最後まで攻め合う展開が増えると予想されます。広島が1点リードした試合で、相手の時間稼ぎにイライラする場面が減るかもしれません。観戦の際は、主審の5秒カウントダウンの手の動きや、交代時の素早い退場にもぜひ注目してみてください。
まとめ
2026/27の競技規則改正は、「時間稼ぎを減らして試合を面白くする」という明確な方向性のもとに行われました。スローイン・ゴールキックの5秒、交代の10秒、治療後の1分、そしてVAR介入の拡大——この4つを押さえておけば、W杯2026もJリーグ2026/27も一段と楽しく観戦できます。ワールドカップで予習し、8月に開幕する広島の新シーズンで“答え合わせ”をしてみてはいかがでしょうか。
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取材・文:Sanfrecce Focus編集部
※本記事はIFAB(国際サッカー評議会)および日本サッカー協会(JFA)の公表情報をもとに2026年6月時点でまとめたものです。各大会での運用細部は今後変更・補足される場合があります。
