J1第8節、サンフレッチェ広島はアウェイのベスト電器スタジアムでアビスパ福岡と対戦し、0-1で勝利しました。福岡は21分に上島拓巳、前半アディショナルタイムに見木友哉が退場となり、後半は9人。広島はシュート32本・枠内9本、コーナーキック16本と一方的に攻め立てましたが、ネットを揺らしたのは後半23分の東俊希の一撃だけでした。ガウル監督が「戦術的なところというのはまったくなくて、メンタルのゲームでした」と振り返った90分を、公式記録とコメントから読み解きます。
ベスト電器スタジアムへの行き方や座席については広島からベスト電器スタジアムへの遠征ガイドにまとめています。

試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 明治安田J1リーグ 第8節 |
| 日時 | 2026年9月19日(土)18:00 |
| 会場 | ベスト電器スタジアム(アウェイ) |
| 結果 | アビスパ福岡 0-1 サンフレッチェ広島(前半0-0) |
| 得点 | 後半23分(68分)東 俊希(広島) |
| 入場者数 | 12,906人 |
| 天候 | 曇、弱風、気温28.3℃、湿度81% |
| 主審 | 高崎 航地 |
試合が動いた5つの場面

| 時間 | 出来事 |
|---|---|
| 21分 | 上島拓巳(福岡)が退場。警告の判定がオンフィールドレビューでレッドカードに変更 |
| 45分 | 北島祐二(福岡)が脳震盪の疑いで交代 |
| 45+6分 | 見木友哉(福岡)がこの日2枚目の警告で退場。福岡は9人に |
| 46分 | 広島が越道草太→小林志紋。後ろの枚数を削り、前線を1枚増やす |
| 68分 | 東俊希(広島)が決勝ゴール。小林志紋のパスを受け左足で |
試合の振り返り
① 11人対11人だった最初の20分
ガウル監督は試合後、この試合の入りをこう振り返っています。「最初の入り、11人対11人のときは自分たちのゲームプランどおりに入って、相手の良さを消して、自分たちの良さを出すというゲーム運びができました」。福岡は立ち上がりから高い位置でボールを奪いにいく姿勢を見せましたが、広島はそれをものともせずに押し込み、相手ゴール前での攻防を増やしていきました。
流れが変わったのは21分。上島拓巳のタックルがいったんは警告と判定されたものの、オンフィールドレビューの結果レッドカードに変更され、福岡は10人になります。さらに45分には北島祐二が脳震盪の疑いで交代。前半アディショナルタイム6分、見木友哉がこの日2枚目の警告を受けて退場し、福岡は後半を9人で戦うことになりました。
広島側も無風ではありません。30分に松本泰志を菅大輝に交代しています。松本にとっては古巣・福岡との対戦でしたが、出番は30分で終わりました(交代の理由はクラブから発表されていません)。警告は17分に鈴木章斗、36分に菅大輝が受けています。
② 9人が築いた「ゴールから20m」の壁
後半、福岡は5-3のブロックを組んで自陣に撤退しました。ガウル監督の表現を借りれば「相手がゴールから20m離れたところに8人いる」状態です。監督は試合後、「あの窮屈なスペースをこじ開けるのは容易ではありません」と語りました。広島はGK以外の全員が相手陣内に入り、福岡を自陣ゴール前に張りつけにしましたが、決定機はなかなか生まれません。
この日の最終ラインの心境をよく表しているのが、荒木隼人の言葉です。「メンタル的にはしんどかったです。マークにつく人もいなかったし、カウンターで出てくるところもなかったので」。1人退場までならカウンターの警戒が必要でしたが、2人目が出てからはそれもほぼなくなり、「点を取ってくれることを願ってプレーしていました」と振り返っています。
それでも集中を切らせなかったのは、福岡がセットプレー、ロングスロー、一発のカウンターという明確な武器を持っていたからです。ガウル監督も「こちらが1つのパスミスから隙を見せれば一気に状況が変わる怖さがありました」と述べています。実際、84分にはコーナーキックから福岡が決定機を作り、コースが変わったボールがポストのわずかに外へ——という場面がありました。
③ 68分、ハーフタイム投入の小林志紋が扉を開けた
ハーフタイム、ガウル監督は越道草太に代えて小林志紋を投入します。狙いは明確でした。「後ろのビルドアップに人数をかける必要はないというところで後ろの人数を減らして前に1人置きました」。
指示は3つ。焦って雑なプレーをしないこと、テンポを高く保って相手を走らせスタミナを削ること、丁寧につないで深みを狙い続けること。荒木も「焦れずにやろう。クロスをポンポン入れるのではなくて、揺さぶればいいよという話がありました」と明かしています。
52分、鮎川峻のクロスに中野就斗がフリーで合わせますが枠の外。直後には小林志紋が絡んだ攻撃からシュートを放つも、GK小畑裕馬に阻まれます。
そして68分(後半23分)。スローインの流れから中野就斗がつなぎ、ペナルティエリア内の小林志紋へ。小林からのパスを受けた東俊希が左足を振り抜き、ボールはゴールに突き刺さりました。福岡の田代雅也が「失点シーンのようなミドルシュートしか正直、ピンチはないかなと思っていた」と語ったとおり、9人の5-3ブロックが構造的に出ていけない場所から放たれた一撃でした。
ちなみに荒木は、この得点についてこう笑っています。「キックミスらしいですけど、入ればいいので(笑)」。
④ 32本で1点——残った宿題
シュート32本、うち枠内9本。コーナーキック16本、ボール支配率74%。対する福岡はシュート2本で枠内は0本、コーナーキックは2本でした。これほど一方的な数字で1-0というのは、決定力という課題がそのまま残った結果でもあります。ガウル監督も「2点目を奪って早く試合を終わらせたかったのは本音です」と認めました。
前節・C大阪戦では、これより少ないシュート数で6得点を奪っていました。同じように攻め続けても、引いて固めた相手には本数がそのまま得点に結びつかないことを示した90分です。なお終盤には広島の“2点目”が生まれかけましたが、VARの介入で取り消しになっています(福岡・塚原真也監督のコメントより)。
一方で見逃せないのは、90分を通してほぼピンチを作らせなかったことです。中野就斗は「ピンチはなかったですけど、常に選手たちでカウンターについては話していたので、良い90分だったと思っています」と振り返っています。
スタッツ比較

| 項目 | 広島 | 福岡 |
|---|---|---|
| 得点 | 1 | 0 |
| シュート | 32 | 2 |
| 枠内シュート | 9 | 0 |
| ボール支配率 | 74% | 26% |
| パス成功率 | 88% | 63% |
| コーナーキック | 16 | 2 |
| フリーキック | 12 | 10 |
| クリア数 | 14 | 48 |
| ブロック | 7 | 28 |
| 走行距離 | 108.8km | 101.9km |
| オフサイド | 0 | 2 |
| 警告/退場 | 2/0 | 3/2 |
※スタッツはJリーグ公式サイトの集計です。クラブ公式の試合データではシュートを広島29本(前半10/後半19)・福岡1本と記録しており、集計方法の違いで本数に差があります。コーナーキック以下の項目は両者で一致しています。
注目したいのは福岡のクリア48回・ブロック28回という数字です。9人になってからの福岡は、跳ね返して跳ね返してを繰り返すだけの時間を耐え抜きました。広島が得たフリーキックの内訳も象徴的で、前半11本に対して後半はわずか1本。前半は福岡が激しく当たってファウルが頻発した一方、後半は9人で引いた福岡がそもそもファウルをする位置まで出てこなかった、ということです。
先発メンバーと交代
前節・C大阪戦の6-1から先発は2人変更。川辺駿と、アジア競技大会にU-21日本代表として参加している中島洋太朗に代わり、古巣対戦となる松本泰志と越道草太が入りました。
| ポジション | 背番号・選手 |
|---|---|
| GK | 1 大迫 敬介 |
| DF | 15 中野 就斗/4 荒木 隼人/19 佐々木 翔 |
| MF | 32 越道 草太/5 新井 直人/14 松本 泰志/7 東 俊希 |
| FW | 11 加藤 陸次樹/10 鈴木 章斗/23 鮎川 峻 |
※ポジションは公式記録の登録表記です。GK1人・DF3人・MF4人・FW3人という並びは、広島がベースとする3-4-2-1のものです。後半はガウル監督の指示どおり後ろの枚数を減らし、前線を厚くする形に変えています。
交代と警告
| 時間 | 交代 |
|---|---|
| 30分 | 松本 泰志 → 菅 大輝 |
| 46分(ハーフタイム) | 越道 草太 → 小林 志紋 |
| 76分 | 加藤 陸次樹 → 川村 拓夢 |
| 90分 | 鮎川 峻 → 前田 直輝 |
警告は17分に鈴木章斗、36分に菅大輝の2枚。福岡は3枚の警告と2枚のレッドカードを受けました。
選手採点(編集部)

MOMは東俊希。9人で固めた相手をこじ開けた一撃がすべてです。中野就斗は最終ラインの一角を務めながら繰り返し高い位置まで進出し、決勝点の起点にもなりました。本人は「シュートを見せないと相手も出てこないので、そういう部分で積極的に狙っていこうとは思っていました」と語っています。GKの大迫敬介は、相手のシュートが1本だけという“出番のない90分”。それでも最後まで集中を切らさず、無失点で試合を終えました。
途中出場の選手
| 選手 | 出場 | 採点 |
|---|---|---|
| 18 菅 大輝 | 30分〜(松本と交代) | 6.0 |
| 45 小林 志紋 | 46分〜(越道と交代) | 7.0 |
| 8 川村 拓夢 | 76分〜(加藤と交代) | 6.0 |
| 41 前田 直輝 | 90分〜(鮎川と交代) | — |
ハーフタイム投入の小林志紋が決勝点をアシスト。「後ろを削って前に1枚」というガウル監督の判断が、そのまま結果につながった形です。
※採点はあくまで編集部の主観です。楽しみ方のひとつとしてご覧ください。
順位への影響
この勝利で広島は8試合を終えて5勝2分1敗・勝点17、得失点差+14で暫定首位に浮上しました。20得点はリーグ最多、失点は6で、8試合のうち4度が完封という内容です。
| 順位 | チーム | 勝点 | 試合 | 成績 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | サンフレッチェ広島 | 17 | 8 | 5勝2分1敗 | +14 |
| 2 | FC町田ゼルビア | 17 | 7 | 5勝2分0敗 | +13 |
| 3 | FC東京 | 17 | 8 | 5勝2分1敗 | +6 |
| 4 | ヴィッセル神戸 | 16 | 7 | 5勝1分1敗 | +6 |
| 5 | 柏レイソル | 15 | 7 | 5勝0分2敗 | +3 |
| 18 | アビスパ福岡 | 4 | 8 | 1勝1分6敗 | -3 |
※2026年9月19日時点。FC町田ゼルビア、ヴィッセル神戸、柏レイソル、ガンバ大阪の4クラブは第8節が未消化のため、「暫定」首位です。それでも開幕から8試合で勝点17、得失点差+14という数字は、上位争いの中心にいることを示しています。
次の試合
リーグ戦はここで代表ウィークによる中断に入ります。再開までの日程は次のとおりです。
- 9月29日(火)19:00|ルヴァンカップ1stラウンド2回戦 vs 栃木シティ(アウェイ/CITY FOOTBALL STATION)
- 10月7日(水)18:30|天皇杯3回戦 vs いわきFC(ハワイアンズスタジアムいわき)
- 10月11日(日)15:00|J1第9節 vs 東京ヴェルディ(アウェイ/味の素スタジアム・DAZN)
そして中野就斗は、この勝利を置き土産に日本代表へ合流します。「勝利して日本代表に合流することになります」と問われた本人は、「なかなかこんなに濃い2週間を過ごすことはないと思うので、素晴らしい選手たちが持っているものをすべて盗んで、自分の成長や広島に還元できればいいなと思っています」と語りました。9月28日(月)のベネズエラ戦は、本拠地エディオンピースウイング広島で開催されます。
代表初選出の詳細は【日本代表初選出】中野就斗の経歴・プロフィールまとめにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 試合のスコアと得点者は?
A. ホームの福岡を広島が0-1で下しました。得点は後半23分(68分)の東俊希。ペナルティエリア内の小林志紋からのパスを受け、左足で決めました。広島にとってはリーグ戦8試合で4度目の完封勝利です。
Q. 福岡の退場者は誰で、何分だった?
A. 2人です。21分に上島拓巳がタックルで退場となり(いったんは警告でしたが、オンフィールドレビューの結果レッドカードに変更)、前半アディショナルタイム6分には見木友哉がこの試合2枚目の警告を受けて退場しました。福岡は後半を9人で戦っています。
Q. 広島はなぜ1点しか取れなかったの?
A. 2人少なくなった福岡が自陣に5-3のブロックを敷いて撤退したためです。ガウル監督は試合後、相手がゴールから20m離れたところに8人いる状態で、あの窮屈なスペースをこじ開けるのは容易ではなかったと振り返っています。広島はシュート32本・コーナーキック16本を記録し、ボール支配率は74%に達しましたが、ゴールは1つにとどまりました。
Q. 中野就斗は出場した?
A. 先発フル出場し、最終ラインの一角を務めました。52分には鮎川峻のクロスにフリーで合わせる場面があり、68分の決勝点でもボールに絡んで起点になっています。試合後はそのまま日本代表に合流しました。
Q. この試合で広島の順位はどうなった?
A. 8試合を終えて5勝2分1敗・勝点17、20得点6失点・得失点差+14で暫定首位に立ちました。ただしFC町田ゼルビア、ヴィッセル神戸、柏レイソル、ガンバ大阪の4クラブは第8節を消化していないため(2026年9月19日時点)、順位はまだ流動的です。
Q. 次の試合はいつ?
A. リーグ戦は代表ウィークで中断します。9月29日(火)19:00にルヴァンカップ1stラウンド2回戦・栃木シティ戦(アウェイ/CITY FOOTBALL STATION)、10月7日(水)18:30に天皇杯3回戦・いわきFC戦。J1第9節は10月11日(日)15:00、アウェイの味の素スタジアムで東京ヴェルディと対戦します。
まとめ
福岡0-1広島。スコアと退場者の数だけ見れば「勝って当たり前」に映る試合ですが、ガウル監督は「外から見れば簡単な試合に見えたかもしれませんが、実際には極めて難しく、精神的に削られるタフなゲームでした」と振り返りました。
32本撃って1点という決定力の宿題は残りました。それでも、引いて固めた相手を崩し切り、最後まで隙を見せずにゼロで終わらせたという事実のほうが、この日は大きい。監督が「このタフなメンタル勝負をゼロで抑えて勝ち切った価値は非常に大きいです」と語ったとおりです。
2連勝、勝点17で暫定首位。中断期間を挟んでリーグ戦が再開するのは10月11日の東京ヴェルディ戦です。その間に負傷者が戻り、中野就斗が代表で得たものを持ち帰れば、後半戦に向けた手応えはさらに厚くなります。
※試合内容・記録は各公式発表に基づきます。最新情報はサンフレッチェ広島およびJリーグの公式サイトでご確認ください。
数字で試合を読み解く
シュート32本で1得点——この試合こそ、本数だけでは語れないことがよく分かる例です。xG(ゴール期待値)とは?と試合スタッツの読み方を知っておくと、「たくさん打ったのに1点」の中身がぐっと立体的に見えてきます。
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取材・文:Sanfrecce Focus編集部
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